空き家の固定資産税は6倍?管理不全空家と伊勢崎市の対策を解説
親から相続した実家を、誰も住まないまま空き家にしていませんか?
2023年12月に改正空家特措法(空家等対策の推進に関する特別措置法)が施行されました。
これにより、管理が行き届いていない空き家は、これまでより早い段階で固定資産税の軽減が外れる可能性が出てきました。
この記事では、法改正で何が変わったのか、税金は実際にどのくらい増えるのか、そして伊勢崎市で使える補助制度までを、要点を絞ってわかりやすくまとめます。
群馬県の空き家率は16.7%|全国平均を上回る現状
群馬県の空き家率は全国平均より高く、約6戸に1戸が空き家です。
全国の空き家は約900万戸・空き家率13.8%
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の状況は次のとおりです。
- 空き家数は900万2千戸で過去最多(5年前より51万3千戸増加)
- 空き家率は13.8%で過去最高
- このうち、賃貸用・売却用・別荘などを除いた「使い道が決まっていない空き家」は385万6千戸
群馬県は約6戸に1戸が空き家
群馬県の状況は次のとおりです。
- 空き家数:161,300戸
- 空き家率:16.7%(全国で16番目の高さ)
- 使い道が決まっていない空き家:73,100戸(空き家全体の45.3%)
使い道が決まっていない空き家は、特に管理が行き届きにくい傾向があります。
空き家になるきっかけの多くは「相続」
国土交通省の「令和6年空き家所有者実態調査」から、次のことがわかっています。
- 空き家を取得した方法は、相続が57.9%で最多
- 空き家になったきっかけは、所有者の死亡が58.3%、転居が26.9%、老人ホームなどへの入居が11.3%
- 相続した空き家の7割超が1980年以前に建てられた住宅
- 相続前に何らかの対策をしていた世帯は約2割にとどまる
また、相続前に対策をしていなかった空き家は、対策をしていた空き家に比べて、
何もしないまま空き家として持ち続けている割合が約1.5倍でした。
親御さんが元気なうちに、家をどうするか家族で話し合っておくことが、空き家を増やさない第一歩といえます。
改正空家特措法とは?「管理不全空家」で何が変わったか
改正法で「管理不全空家」が新たに設けられ、倒壊寸前になる前の段階でも、固定資産税の軽減が外れる可能性が出てきました。
特定空家と管理不全空家の違い
| 区分 | どんな空き家か |
|---|---|
| 特定空家 | 放置すれば倒壊などの危険がある、衛生上著しく有害、景観を著しく損なっているなど、すでに周囲への悪影響が大きい空き家 |
| 管理不全空家(改正で新設) | 適切に管理されておらず、このまま放置すれば特定空家になるおそれがある空き家 |
改正前は、固定資産税の軽減が外れるのは特定空家だけでした。
改正後は、その一歩手前の段階でも対象になる点が大きな変更です。
指導→勧告→軽減の解除(分かれ目は「勧告」)
管理不全空家と判断されると、次の流れで手続きが進みます。
- 指導:市町村から、管理を改善するよう求められます
- 勧告:指導しても改善されない場合に行われます
- 勧告を受けると:その敷地は、固定資産税の軽減(住宅用地特例)の対象から外れます
つまり、指導を受けた段階で改善すれば、勧告には進みません。
なお、状態が悪化して特定空家になり、市町村の命令にも従わない場合は、50万円以下の過料が科されたり、行政による強制撤去などが行われたりすることがあります。
どんな状態が「管理不全」と判断されるのか
国土交通省は、管理不全空家の状態の例として次のようなものを示しています。
- 屋根材・外壁・雨樋などの破損や、それを支える部材の腐食
- 柱などの構造部材の破損・腐朽・シロアリ被害
- 庭木が手入れされずに腐朽している、枝が敷地の外にはみ出している
- 排水設備(浄化槽を含む)の破損
- ごみの放置や常にできている水たまり、動物のすみつき
- 窓や扉の破損(不法侵入のおそれ)
市町村はこれらの例を参考に、個別の状況をふまえて総合的に判断します。
空き家の固定資産税は本当に6倍になる?
「最大6倍」は軽減の割合から来た表現で、実際の税額がそのまま6倍になるわけではありません。
ただし、大きく増えることに変わりはありません。
住宅用地特例のしくみ
住宅が建っている土地は、固定資産税と都市計画税が次のように軽減されています(住宅用地特例)。
| 区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(1戸あたり200㎡以下の部分) | 評価額の1/6 | 評価額の1/3 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 評価額の1/3 | 評価額の2/3 |
勧告を受けると、この軽減がなくなります。
実際の増え方の目安
「6倍」は、1/6に軽減されていた分がなくなることから来た表現です。
ただし、住宅用地ではない土地には、課税の基準となる額(課税標準額)を評価額の70%までに抑える仕組み(負担調整措置)があります。
そのため、小規模住宅用地で計算すると、増え方の上限は次のとおりです。
- 固定資産税:評価額の約16.7%(1/6)→ 最大70% = 約4.2倍
- 都市計画税:評価額の約33.3%(1/3)→ 最大70% = 約2.1倍(都市計画税がかかる地域の場合)
実際の税額は、土地の評価額や負担調整の状況によって変わります。正確な金額は、市の固定資産税の担当窓口で確認してください。
税金以外のリスク
空き家には、税金以外にも注意したい制度があります。
- 相続登記の義務化(2024年4月1日から)
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記が必要です。
正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。
2024年4月より前に相続した不動産も対象で、2027年3月31日までに登記が必要です。 - 特定空家への命令違反
前述のとおり、過料や強制撤去の対象になることがあります。
相続した実家を放置しないための選択肢
持ち続ける・売る・貸す・解体する、どれを選ぶにしても、決めないまま時間が過ぎることが税金面でも管理面でも負担につながります。
持ち続けるなら「管理不全にしない」管理を
国土交通省は、空き家の管理の目安として次のような行為を示しています。
- 一定の頻度で屋根材の点検・補修を行う
- 一定の頻度で排水設備(浄化槽を含む)の点検・補修を行う
- 一定の頻度で庭木の点検・伐採を行う
遠方にお住まいで通うのが難しい場合は、不動産会社などに見回りや管理を依頼する方法もあります。
売るなら「相続空き家の3,000万円特別控除」を確認
相続した実家を売るとき、一定の要件を満たすと、譲渡所得(売却益)から最高3,000万円を差し引ける特例があります。
主な要件
- 亡くなった方が住んでいた家で、1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられたもの
- マンションなどの区分所有建物ではないこと
- 相続の直前に、亡くなった方以外に住んでいた人がいないこと(老人ホーム入所の場合も一定の要件で対象)
- 相続してから売るまで、貸したり住んだり、事業に使ったりしていないこと
- 耐震基準を満たすよう改修するか、取り壊して更地で売ること(2024年以降の売却は、売却の翌年2月15日までに買主が改修・取り壊しをした場合も対象)
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
注意点
- 適用期限は2027年12月31日までの売却です。
- 相続人が3人以上の場合(2024年以降の売却)は、控除額が2,000万円までになります。
- 確定申告と、市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」が必要です(伊勢崎市も発行しています)。
個別の判断は、税務署や税理士に確認してください。
貸す・解体するときの注意点
貸す場合
- 修繕にかかる費用と、見込める家賃のバランスを事前に確認しましょう。
- ただし、一度貸すと、その後に売るときに3,000万円特別控除は使えなくなります。
解体する場合
- 建物を取り壊すと住宅用地特例がなくなるため、翌年度から土地の固定資産税が増える場合があります。
- 補助金を使うときは、申請して交付決定を受けてから着工する必要があります(伊勢崎市の場合)。
伊勢崎市で使える空き家の支援制度と相談窓口
伊勢崎市には、空き家の解体(除却)費用と改修費用の補助制度があります。
いずれも先着順のため、申請前に市へ受付状況を確認しましょう。
空き家除却補助事業(解体費用の補助)
| 区分 | 補助額 | 上限 |
|---|---|---|
| 危険空き家 | 除却工事費の4/5以内 | 50万円 |
| 旧耐震空き家(1981年5月31日以前に建築) | 除却工事費の2/5以内 | 25万円 |
主な条件
- 所有者が個人で、住むために建てた(または購入した)住宅であること
- 1年以上住んでいないこと
- 市内の事業者が施工し、工事費が20万円以上であること
- 交付決定を受けた後に着工すること
- 利用は1人1回まで、補助件数は各区分20件(先着順)
- 令和8年度の受付期間:5月8日〜9月30日(郵送は当日消印有効)
市のホームページには、解体費用の相場がわかる「解体費用シミュレーター」も用意されています。
空き家改修の補助(移住者向け・市内転居者向け)
空き家を改修して住む人(所有者、または購入して取得する人)が対象の制度です。
| 事業 | 主な対象 | 補助額 | 令和8年度の受付 |
|---|---|---|---|
| 移住者支援空き家改修補助 | 市外から移住し、空き家を改修して住む人 | 改修工事費の2/3以内(上限200万円・加算含む) | 5月8日〜11月30日(先着5件) |
| 市内転居者空き家改修補助 | 市内で転居し、空き家を改修して住む人 | 改修工事費の1/2以内(上限80万円) | 5月8日〜12月28日(先着5件) |
- どちらも、交付決定前に始めた工事は対象外です。
- 予算額に達した場合は、期限前に受付が終わることがあります。
- 移住者向けは10年以上、市内転居者向けは5年以上、その空き家に住むことなどが条件です。
無料相談会・問い合わせ先
市では、無料空き家相談会の開催や、空き家対策ガイドブックの発行も行っています。
最新の日程は、市の空き家対策のページで確認してください。
問い合わせ先:伊勢崎市 建設部住宅課 空家対策係(電話 0270-27-2797)
よくあるご質問
Q. 誰も住んでいない家でも、固定資産税の軽減は続きますか?
A. 空き家であっても、ただちに軽減の対象外になるわけではありません。ただし、管理不全空家や特定空家として勧告を受けた場合は対象外になります。
また、使う見込みがなく取り壊す予定の場合や、住むために必要な管理を怠っていて今後住む見込みがない場合なども、軽減の対象となる「住宅」には当たらないとされています。
Q. 空き家を解体すると税金は上がりますか?
A. 建物を取り壊すと住宅用地特例がなくなるため、翌年度から土地の固定資産税が増える場合があります。
解体するかどうかは、税負担と管理の手間の両方を比べて判断しましょう。
Q. 解体した後でも補助金は申請できますか?
A. 伊勢崎市の空き家除却補助は、補助金の交付決定を受けた後に着工した工事が対象です。
着工してからでは申請できないため、先に市へ相談してください。
まとめ
- 群馬県の空き家率は16.7%で、全国平均(13.8%)を上回っています。
- 改正空家特措法で「管理不全空家」が新設され、勧告を受けると固定資産税の軽減が外れます。
- 「6倍」は軽減の割合の話で、実際の固定資産税の増え方は約4.2倍が上限の目安です。
- 持ち続ける・売る・貸す・解体する、どれにも税金や補助金の条件があります。早めに方針を決めることが大切です。
伊勢崎市周辺の空き家・相続した実家のご相談は、ぐんぱつ管理へ
有限会社ぐんぱつ管理は、伊勢崎市を中心に、不動産の売買・賃貸仲介や空き家の管理、不動産相続のご相談をお受けしています。
「売ったほうがいいのか、貸せるのか」「まず何から考えればいいのか」といった段階からでも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。
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